c(HbAc)を低く保つために 


ここには、血糖コントロールを安定させるのに役立ちそうな知識を集めてあります。
カーボ・カウンティングについても述べています。 ぜひ参考にしてみてください

1) 1800ルール(超速効)と1500ルール(レギュラー)の活用
   
(Adapted from Insulin Pump Therapy Handbook 1992 John Walsh, P.A., C.D.E. and
   Ruth Roberts, M.A)

超速効では:
1Uのインスリンで下がる血糖値の目安=1800/一日の総インスリン量

レギュラーインスリンでは:
1Uのインスリンで下がる血糖値の目安=1500/一日の総インスリン量

という簡易換算式が知られています。
この値をインスリン効果値(感受性)といいます。
 事前などで血糖値が高いときの目安にされてはいかがでしょう。

2) 500ルール(超速効)と450ルール(レギュラー)の活用
   
(Adapted from Insulin Pump Therapy Handbook 1992 John Walsh, P.A., C.D.E. and
   Ruth Roberts, M.A)

超速効では:
1Uのインスリンで処理できる炭水化物のグラム数= 500/一日の総インスリン量
レギュラーインスリンでは:
1Uのインスリンで処理できる炭水化物のグラム数= 450/一日の総インスリン量

という簡易換算式が知られています。
この値(?g/1U)を
インスリン炭水化物比
といいます。

3) 50ルール(超速効)と45ルール(レギュラー)の活用

実用的には炭水化物10gに何単位インスリンがいるかを知っておくと便利です。

超速効では:
炭水化物10グラム数に必要なインスリン量= 一日の総インスリン量/50
レギュラーインスリンでは:
1Uのインスリンで処理できる糖質のグラム数= 一日の総インスリン量/45

という簡易換算式になります。

4) 蛋白質と脂肪のみの食事ならインスリンは不要?

蛋白質の約60%、脂肪の10%が糖に変わると言われていますが、血糖値
に反映されるのに長い時間がかかります。4時間以内に作用を終える超速効
型インスリンを増やすのは適当ではありません。

糖質への換算式としては
蛋白質のグラム数×0.6+脂肪のグラム数×0.1 = 糖質のグラム数
となります。

100gのお肉(800kcal、蛋白質60g、脂肪40gとして)は
60×0.6+40×0.1 = 40 から、40gの糖質
に相当すると考えられます。
でも、血糖に反映されるのは何時間も経ってからになります。

5) ピザ効果とは?

脂肪やタンパク質を多く摂れば摂るほど炭水化物の消化吸収
が遅くなる。例えば、ピザなどを食べた後、あまり血糖値が上昇しない
(2〜3時間)、ただし、5〜7時間ぐらいしてから上昇することが知られて
います。これが俗にいうピザ効果(The pizza effect)。

6) ADAのNew Guidelineで推奨される Carbohydrate Countの考え方

   ADAでは15gの炭水化物を1カーボとしています。
   国内では食品交換表が炭水化物20g(80kcal)を1単位と呼んでいますので

              炭水化物10gを1カーボとする

   ことが提唱されています。(参考書籍1)
   1カーボ当たりのインスリン量は下記の簡易式で求めることができます。

   

1カーボ(炭水化物10g)
当たり必要
となる
超速効型イン
スリン量

  
 = (一日の総インスリン量)÷ 50)  U
 

 

   一日のインスリン総量が50Uの場合、1カーボ当たりちょうど1Uの超速効型インスリンが必要と
   なる計算になります。レギュラーインスリンなどの速効型インスリンでは500のところを450に置き
   替えて「450ルール」で計算してください。

   交換表で言えば、表1と表2だけカウントしてインスリンをきめればよい
   
ということになります。逆に言えば、

      表1と表2の摂取量を一定にすればインスリン量も一定でよい

   ということにもなります。いかがですか?

(参考書籍:川村智行、藤本浩毅、坂本和恵、広瀬正和:糖尿病のあなたへ簡単カーボカウント
〜豊かな食生活のために〜,川村智行 大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学教室、
 同大学附属病院栄養部編,医薬ジャーナル社,東京,2006)

   ***** その他、参考になる考え方 *****

  Carbohydrate counting is based on two idea.
  Eating equal amounts of sugar (such as fruit or, on occasion, candy) or
  starch (such as bread or pasta) will raise blood sugar about the same
  amount.

同じ量の糖果物や時にはキャンディ)や炭水化物(パンやパスタ)は
血糖値を同じように上げる。

  Carbohydrate is the main nutrient that effects blood sugar.
  Within one to two hours after eating carbohydrate, most of it is
  changed to blood sugar. Protein and fat have much less effect
  on blood sugar.

炭水化物は血糖値に影響を与える主な栄養素です。炭水化物は摂ってから
1〜2時間でほとんどが血糖に変わりますが、タンパク質や脂肪を摂った場合
は血糖への影響がはるかに小さくなります。

7) インスリンのスライディングスケールの例(目安)

食事前の血糖値が高いとき、先に述べた1800ルールまたは1500ルールで追加
すべきインスリン量を計算することができますが、下記のような簡易法を用いる方法
もあります。

The Algorithm of Insulin Dosage Guide Slide Scale
Kaufman FR: Use of a Plastic Insulin Dosage Guide to Correct Blood Glucose
Levels out of the Target Range and for Carbohydrate Counting in Subjects With
Type 1 Diabetes. Diabetes Care 22(8):1252-1257, 1999

単位数(食前の速効性)    10U未満の場合 10U以上の場合

============================
許容値を50mg/dl超える毎に 0.5Uづつ増やす 1Uづつ増やす
許容値以下なら         0.5U減らす    1U減らす
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
許容値の上限
 5才以上なら 
≦ 150mg/dl
 5才未満なら ≦ 200mg/dl

許容値の下限は
 3才以上なら ≧ 70mg/dl
  3才
未満なら 100mg/dl

但し、5才未満では眠前は増やさない。5才以上では半量追加とします

8) 同上の文献から、食べるまでの待ち時間(Rと超速効)について

速効型では: 許容値であれば 30分  200〜250mg/dl 45分
   
      >250mg/dl 60分

超速効型では: ≦300mg/dl 0〜10分  >300mg/dl 15分

9) 血糖測定結果を生かすには

血糖値が高いときには以下のような方法を組み合わせるといいでしょう

インスリン: インスリン量を少し増やす。
 食事までの時間を変える(インスリンを打ってから40分〜50分あける)

食事: 食べ方を変える ゆっくり食べる。
 内容・量を変える 糖質を後回しにする、減らす、など

運動: 運動量を考える 食後の運動

10) A1cは上昇速度は速いけれども下降速度は遅い

Boden G, Master RW, Gordon SS, Shuman CR, Owen OE.
Monitoring metabolic control in diabetic outpatients with glycosylated
hemoglobin. Ann Inter Med 1980;92:357-60. )
The rate of formation of HbA1 is considerably faster than its rate of disappearance

血糖値が高いまま放置すればA1cへの影響が大きくなります。
早く適正な値に戻せばA1cの上昇を最小限に止めることができるでしょう。