病原性大腸菌による食中毒とは

(西日本文字放送原稿として担当執筆した原稿を掲載しています)

1)病原性大腸菌と食中毒

  ・大腸菌はふつう無害であるが、一部の大腸菌が

   病原性をもつ

  ・病原性大腸菌による食中毒の潜伏期はふつう1〜3日。

   もっと長いものもある

  ・毒素産生の有無から大きく2つに分類される

  ・菌の表面の性質から「Oの何番」などと分類

2)毒素を作らない病原性大腸菌

  A)サルモネラ様の下痢をおこす菌

    主として乳幼児の下痢症の原因に

  B)赤痢様の下痢をおこす菌

    膿の混じった粘血便がでる。集団食中毒の報告は希

  C)下痢が2週間以上続く菌

3)毒素を作る病原性大腸菌

  A)下痢をおこす毒素をつくる菌

    コレラ様の水様下痢が特徴

  B)ベロ毒素をつくる菌

    強い腹痛と出血性の下痢が特徴で、腸管出血性大腸菌と

    いわれる

    O−157、O−26、O−111など

4)腸管出血性大腸菌O−157とは

  ・動物の腸管に住み、糞便に排泄される

  ・これまでに菌が検出された食品として

   牛の肉や臓もつ、おかかサラダ、カイワレ大根、

   和菓子、ゆでめん、給食弁当の漬け物、

   マカロニサラダ、ポテトサラダ、シカ肉などがある

  ・井戸水やイエばえで検出されたこともある

5)O−157による食中毒の特徴

  ・少ない菌数(数個〜数十個)でも感染する

  ・潜伏期は2〜14日 多くは3〜5日

  ・発熱(多くは37度台)。 

   倦怠感、水溶性下痢、血便、強い腹痛

  ・ベロ毒素が時に腎臓や脳を侵す

  ・死者のほとんどは乳幼児と小児

6)出血性の下痢があったら

  ・原因菌の過半数はカンピロバクター

  ・病原性大腸菌とサルモネラがそれに続く

  ・症状だけからは原因菌はわからない。

   すみやかに医師の診察を

  ・乳幼児・小児・おとしよりは特に注意

  ・便にさわったら手洗いなどで二次感染を予防

7)感染予防には

  ・生鮮食品はすぐに冷蔵庫や冷凍庫に

  ・大腸菌は熱に弱く、加熱により死滅する

・中までよく火をとおし、調理後すぐたべる

  ・生肉などを調理したら、手を石鹸でよく洗う

  ・調理器具もよく洗って熱湯などで消毒

  ・ふきん、スポンジも使ったら洗って消毒を


8)病原性大腸菌 補足:

  血清型としてO.H.K抗原が知られている

  通常O抗原とH抗原の組み合わせで血清型

   が区別される

   1)O抗原(耐熱性の多糖体抗原)

     細胞表面にあるLPSの抗原構造によって

     O1-O173型に

   2)H抗原(易熱性の鞭毛抗原)

    同様にH1-H57型に分類される

   3)K抗原(爽膜抗原)

    同様にK1-K90型に分類される

  O−157では

   感染成立に必要な菌数は数個から数十個

   *一般の食中毒菌では1×10の6乗から10の8乗

     を必要とする。この点では赤痢菌に似る

   *胃酸を潜り抜ける、乾燥にも強い

   *熱には55度1時間、60度15分、

     75度1分以上で死滅

   *溶血性尿毒症症候群へ進展する率は10〜30%